さっきは有無を言わせず腕を引っ張ったくせに、あたしがケガしてることになってるから、態度が変わってる。
しだいに校舎が近づいてきた。
「保健室、こっちだよ?」
と言って昇降口の方へ曲がろうとしたあたし。
「別に、保健室に用はねぇ」
「はっ?」
背中に添えられていた手は、いつの間にかあたしの肩を抱いていて、保健室と真逆の方向へ身体を向けられた。
「どーせ保健室は人が多いだろ。中庭とかねぇの?」
そもそも、ケガをしてない人が保健室に行っちゃダメだよね。
「中庭?なんでそんなとこに……?あっ、サボりなら付き合わないから!」