よかった。とりあえず1人いなくなった。
あたしはチラッと見ただけで、また視線を上へ戻す。
今まで篤樹と平塚くんに熱い視線を送っていた子達も奥原朔を追いかけていて、2人は安心している様子。
……よしっ、この騒動にまぎれて逃げよう!
「はっ!?ちょっ、待てって」
グイッ。
逃げようと試みたその瞬間、篤樹に腕を引かれた。
げっ……せっかく逃げようとしたのに。バレたか。
「……なに」
あたしの顔は不機嫌丸出しだろうな。
なんて冷静に考えてみる。
だって、あの日のこと考えると……どんな顔していいか分からない。
それに、出来ればもう関わりたくないのに。
自分がよく分からなくなる前に……。