綴る事。
綴る事、綴る事、綴る事。

声にならない思いを綴る。
声に出来ない想いを綴る。

苦しい事を文字に変える。
辛い何かを文字に添える。

懸命な俺にとっての逃避。
賢明な俺にとっての常軌。

そこに誰かが声を差出す。
そこに誰かが影を落とす。

姿の見えない俺を見る目。
音の聞こえないはずの耳。

なのに届く柔らかな光を、
なのに響く確かな息吹を、

感じる事の出来る現実感。

例えほんの僅かな時でも、
例え誰かに理解得ずとも、

一瞬。

一瞬だけで掻き消される、
か細く弱い動機としても、

感じる心は確かなモノだ。
感じる此処は、宝モノだ。

ちゃんと聞こえてるから、
今だけは聞こえてるから、

患う脳が忘れやがったら、
またいつかその音と影を、

またいつか感じさせてよ。
それだけで何かが変わる。

変わる……かもと思える。

そう思えたんだ。





笑夜