深夜に月を見ていた
右側が欠けた月が、ただ空に浮かぶ
僅かに軸をずらしながら
いつしか、右側の欠けた部分が
上を向いていた
都会の夜空に星は無く
ただ暗いだけの空に
月一つ
覆う雲に気付かない俺は
晴れているのか、
曇っているのか、
それすら気にせず
ただ月一つ、穴の空く程に
見つめていた
ふいに月はどんどんと
夜空の闇に溶けて行き
しぼむ様に溶けて無くなった
月一つ、夜空に溶ける瞬間
うまく隠れたつもりでしょうが
俺は見てたゼッ
どうせまた雲の切れ間から
ふいに現れるんでしょうが
雲の見えない俺には
湧き出る様に見えるはず
そんな期待をしていたら
フロントガラスに水の粒
雨で視界を遮りやがって
今日は見られたくないのか
ま、そんな日もあるよな
俺も空に溶けてみたい
雨は降らさない
泣く必要がないから…
笑夜