『夢』と云う絵を描いた。

ただ『夢』と云う絵を描いた。

字ではなく『夢』と云う

絵を描いた。

絵ではあるのだけれど、

『夢』と云う字を描いた。


海原に浮かぶ『夢』と云う字の
小さな島。

オレンジ色の『夢』の島。

桜が一本咲いている、小さな島。

プカプカ浮かぶその島には、

太陽が燦々と降り注いで、

鴎が浅瀬に飛び回っていた。

島には住人が戯れ、緑が生い茂り、

空には程良く雲が浮き、

青く眩しさがそこに有る。

遠くに見える帆船。

乗っているのは誰だろうか。

迎えの誰かが手を振っている。

帆船に乗っているのは……

出来れば自分であって欲しい。

小さい帆船はまだ沖を進行中。

乗組員は、


まだ見えないのだけれど。





笑夜