亀は

一度の産卵で
一体、幾つの卵を産むのか

天敵に備え
『余分』な生命の誕生
死と生の『備え』だ

無事に海へ辿り着き
生き長らえたものが
繋ぐ生命


100の製品の内
一つの欠陥があれば
初めから101つくればいいじゃないか

どこかの大国の
理に叶った計算

1でなく100を守るための
短絡的思考

その短絡的思想こそが、
無駄を省き、
幾つ捨てられて来たのか


一つの命の重み
その絶対の重みに
執着する人間の思想

片や短絡的で
無駄を省く術を知りながら

片や生物界の
生と死の摂理を知りながら


無駄を省きましょう
生死の備えに勤しみましょう

ただ、種の継続の本能に
忠実な結論を導き出せない
やっかいな脳が 愚の骨頂

命の重みは変わるのです
備えを知る『亀』は
それを知りながら
万年を生き長らえる

『余分』な命を授かる行為
その欲の本能だけは
しっかり持ち続ける
人の寿命はたかだか……

生死の摂理

欠陥の排除

本能の色欲

全てを知に携えながら
まだ怯えるのでしょうか
自らの愚行と愚考

もしも100『匹』生まれる種なら
間引きも容易かった事でしょうに

ただ海へ這いずる
亀の本能……
あれは競っているのではなく
まさしく生きているのでしょう

我々も海へ急ごう
但し、備えをしっかりして

さあ、行きましょう
さあ、生きましょう

誰が鴎に喰われても
それが自然の摂理です
101分の1の人知の短絡

それでいいじゃないですか

甲羅と苦を背負い


いざ、行楽へ





笑夜