久し振りに見上げた夜の空
視界に飛び込んだ久しい月

思違いかそう見えただけか
月の中の影が笑顔に見えた

何度も見直す俺は車の中で
見づらいったらないけれど

いつの間にやら月は察して
行く先の方向へ移動したり


右側を陰らせたいびつな月
欠けてんのか滲んでんのか

ぼやけたその部分に形無く
空と混ざり合っていて霞む


そこには見えない月の輪郭
そこに何も無い訳じゃない

見えないだけの形のある闇
見えないだけの隠れた陰影

陰に隠れながら優しく光る
しかしそこには確実に在る

手を伸ばし触れられたなら
闇を感じる事が出来るのに


人の心もそれに似た陰り有
闇、病み、止み、そんな陰

またいつか形を僅かに変え
またいつか光に照らされ浮

輝かしい立体と隠れていた
ありのままの姿を晒しつつ

満ちたその形が丸く光る心
その暁あの月の笑顔の如く


笑えたらそれでいいのかも




笑夜