俺の知らない世界
それは途方もない場所でなく
井戸の周囲、身近に在る
俺の知らない世界
それは広大な空間ではなく
限られた領域の中に在る
時に世界を大きく捉え
知った風な事をのたまい
時に視界を広げられず
強がりな蛙に成り下がる
所詮、人の物差しなんて
たかだか知れたものなんだ
井戸から顔をひょっこり出せば
まだまだ一人じゃないじゃないか
物差しで計れない井戸の外
まずはそれを手放そう
果てなき場所を意識せずとも
まずは井戸の周囲をグルリ
ただそれだけの小さな蛙
井戸から這出た小さな蛙
知りうるモノ多々、無くすモノ無し
出逢い再会、数限りなし
笑夜