「ミューズっていうのは、デザイナーにとって世界でただ一人の特別な女性という意味の言葉なんだ。」
へぇ〜、初めて知った。そういう意味だったんだ。
だけど…。
それと私に何の関係が?
夢さんの言いたいことがいまいち分からなくて、首を傾げる。
「僕の夢はデザイナーだった。…いや、過去形じゃない。今も。多分、これから先ずっと…。」
夢さんは自嘲するように薄く笑った。
「決して叶うことはない、夢。」
夢さんのエメラルドグリーンの瞳が哀しく輝いた。
「叶わないかどうか、まだ分からないじゃないですか…。」
思わず呟いていた。