花織君の目がかすかに見開いた。



ミューズ?




どういう意味?





「…何言ってんだよ、兄貴。」




花織君は声を震わせて、すがりつくように言葉を続けた。




「俺のこと捨てるのかよ!?明王寺を捨てるのかよ!?」




明王寺さんは黙りこんだまま。




花織君は明王寺さんの言葉をしばらく待っていたけれど、何も言わない明王寺さんに耐えかねたのか、ギロッと私を睨んでから部屋を出ていってしまった。