うん、と頷いて、お母さんの後をついていく。



「お帰りなさいませ、心結様。…奥様!?



「あはは、帰ってきちゃった。久し振り、中林。」


「お帰りなさいませ。」


ピッタリ三十度の礼を返している中林さん。



彼は10年近く前から運転手として仕えてくれている。



「それじゃあ行きましょ。西園寺本邸へお願い。」



「かしこまりました。」



ゆっくりと車が発進する。



西園寺 心結(ミュウ)。それが私の名前。



西園寺家は歴史はそれほど古くはないけど、まぁ名門と呼ばれている家柄。