「…ぁ…」
偶然、駅であなたを見かけたの。
あなたが結婚するって
噂で聞いたわ…。
なんだか…
あの頃より大人になったあなたに
声、かけられなかった…。
高校3年の春、
初めて同じクラスになった。
あなた…悠哉は
カッコよくて、優しくて
クラスの人気者だったの…。
最初はただの友達だったね。
2人で遊んだり、出かけたり
今思うとあの頃が一番
幸せだったのかな…。
「…遥香、付き合って」
そう言われた時は驚いた。
私は恋なんて知らないから…
悠哉のことも
友達だと思ってたから。
「悠哉のことは友達として好き…
恋とか分かんないの…
それでもいいなら…付き合う…」
そんな風に応えたこと
後悔してるわ…。
本当は悠哉に恋してた…。
付き合って2年…
違う大学に行った私と悠哉。
あなたの心に私じゃない人がいる
そう気がついたの。
「…悠哉、お別れしよう…」
繋いでいた手を放したのは私。
「どうしたの?遥香」
「…ごめんね悠哉。」
今更、好きになってごめん。
「…さよなら。」
あなたの応えを待たずに
さよならをしたのも私から。
あの頃よりも背が伸びて
大人になったあなた。
そんなあなたの後ろ姿を見ると
今でも切ないの。
今は私も悠哉も
別々の道を歩いてる。
お互い、恋人がいるの…。
…もうあの頃には戻らないわ。
心の中で呟いた。
駅の人混みに消えていくあなたに
もう一度、さよならを告げた。
「…さよなら悠哉
幸せに。」
聞こえるはずないのに
振り向いた気がしたの。
大好きだった、あの笑顔で。