人の気配がした。 「徹(とおる)……?」 枕元に立っていたのは、俺の教育役だった。 「ああ、起こしてしまいましたか」 カーテンを閉めていても、夜灯りは窓から入ってくる。 その灯りの中で、ふわりと徹が笑った。 「っ……」 まただ。 このところ、徹はこんな、悲しげな笑いかたをよくする。