葵「ついでに、平中さんもね。じゃあね」
“ついでに”は余計じゃない?
勇斗「あいつ、美希を友達にする気あんのか?」
あー、それ思った。
あれで友達作る気あったら凄い。
勇斗「俺、トイレ行ってくるわ」
いちいち言わなくていいのに。
女子の前でそういう事言う?
私はともかく美希がいるのにさ。
美希赤面してんじゃん。
~放課後~
あっという間に放課後。
授業は、夏希がうるさくて聞こえなかった。
夜月「美希、帰ろ」
美希「あっ、ちょっと待って!」
昔から美希は行動が遅い。
?「橘さん」
出た、福谷 葵。
葵「一緒に帰らない?ついでに、平中さんも」
また、美希は“ついで”?
まっ、二人で帰るのも寂しいし、一緒に帰っていい。
夜月「うん。美希、準備出来た?」
美希「…うん」
何か元気ない。
ついでって言われたから?
靴に履き替え、校門の所へ沈黙のままで行った。
葵「二人は、どういう関係なの?」
関係か。
美希「………パートナーと親友と従姉妹」
美希、小声で言ったけど葵には聞こえてると思う。
葵「クスッ そうなんだ。二人は、最強のパートナーね」
最強のパートナー?
葵「あっ、もうここでお別れね。じゃあね」
手を振って、葵と別れた。
葵の家って神社?
神社に入って行く葵。
神社の巫女なんだ。
美希「福谷さん…巫女だったんだね」
夜月「令嬢かと思ってた」
だよねと言って、クスクス笑う美希。
葵は令嬢に相応しい程だった。
夜月「あとで、行ってみる?葵のとこ」
美希「…うん」
美希の反応はいまいちだったけど、うんって言ったんだから、行くよね?
夜月「んじゃ、また後で」
私の家の前で、別れた。
ガチャ
?「夜月ー!!」
ギュー
強く抱き締めてくる
お母さん。
夜空「夜月、お帰り!」
お母さんの力は強く、押しつぶれそうになる。
ホント力強い。
元レディースじゃないのが驚きだ。
夜月「お母さん、勇斗は?」
勇斗は、先に帰ったはずだ。
夜空「勇斗は、ソファーで寝てるわよ!帰ってそうそう寝ちゃったのよ」
疲れてるのかな?
夜月「私、美希と出掛けて来る」
夜空「どこ行くの?」
どこ行くって…
夜月「友達ん家」
そう言って、すぐに自分の部屋へ行った。
制服のまま行くのはちょっとね。
ボーイッシュな格好をし、髪を下ろす。
よし、美希ん家行くか。
ピンポーン
インターホンを押す。
ガチャ
出て来たのは、水玉のワンピを着た美希。
夜月「行こう」
美希「うん♪」
何か、下校中は反応良くなかったのに、今は何故かいい。
不思議でしょうがなかった。
もしかして、夏希に説得されたのかな。
その方が嬉しいんだけどね。
葵とも、話しやすいし。
もしそうじゃなかったら、不思議でしょうがない。
トコトコトコ
トコトコトコ
トコトコトコ
………
何でこんなに沈黙が続く?
小さい頃から、一緒にいたのに、話すことが何にもない。
夜月「美希」
名前を呼ぶと、美希は
美希「なぁに?」
とびっきりの笑顔で、そう言って来た。
可愛い…けど。
夜月「何で、そんなに笑顔なの?」
それが気になるんだけど。
どうして、そんなに笑顔なのさ?
美希「あっ、ここだよね?」
話を変えられた…
何か悲しい。
うん、悲しい。
美希「何してるの?行こうよ」
私の腕を引っ張って、前に進もうとする美希サン。
美希サン…
痛いです。
痛いから、離して下さい。
美希「早く行くよ!」
夜月「はいはい」
ドテッ
いたっ。
思わず、転けてしまった。