アイツがあの空間に浸っている中、
俺様は堂々と(どうせ見えねぇし)アイツの教室で聞き耳を立てる。
「中村、最近調子乗ってねぇ?」
「分かるぅ!」
「『僕はあなた方とは違って
特別なんです』…みたいなー。」
「それやべぇ!笑」
「あんな奴、橘がいなかったらつるんでねーよ!」
本人達が居なけりゃ、言いたい放題。
アイツも嫌な予感ぐらいはしていたみたいだが、
「なぁなぁ、」
あんな細ぇ奴が
「ちょーっと、」
あんな心がボロボロの奴が
「虐めちゃわない?」
―――耐えられるだろうか。
アイツ自身が檻を壊すのか。
俺様が壊してやるのか。
まぁ、あの橘ってやつも
俺様の予想以上に良い働きをしそうだ。
さてと、やっと舞台は整った。
…気をつけろよ?暁?
自然と口角が上がってしまうのは
俺様が悪魔だからだろうか。
それとも…――。