「…ありがとう。」
とりあえず、お礼を述べる。
よく分かんないけど
取り返してくれたわけだし。
「いや、んまぁ…。」
それに対してどこか困っているような
変な顔をして、歯切れの悪い橘。
「へぇ。あぁ、そう。」
と何かに納得しているレヴィ。
いったい何なんだと見ていれば
いきなり真剣な顔で
「気をつけろよ、暁。」
…。本当にいったい何なんだ。
橘は、もうどっか行ったみたいだし
レヴィはさっきの神妙さが嘘どころか
幻のようにニヤニヤと楽しそうだ。
そしてクラス内の妙な雰囲気。
嫌な予感、当たらなければいいな。
そう思いながら
この雰囲気の中、いつものように
勉強する気にはなれず
行く当ても無く教室から出た。
…どこへ行こう。