見慣れた家の、見慣れた扉を開ける。
「ただいま。」
リビングに向かうとお母さんは
テーブルで何かしていたようだった。
「おかえり。模試の結果、見たわよ。
頑張ったわね!」
模試の個人の結果表は
昨日のうちに渡してあった。
そこでその口が動かなければいいのに。
「そんなわけねぇだろ。」
「次もこれ以上取れるといいわね。」
レヴィの言葉とお母さんの言葉が重なる。
「うん、がんばるよ。」
(黙っててください。)
その言葉を本当に伝えたかったのは
レヴィか、
―――お母さんか。
「分かってるくせによぉ。」
レヴィの声が聞こえた気がした。