―――…もういいや。
僕に普通なんて分からないし。

分かるのは勉強だけ。
勉強が分かったところで
生活に役立つことなんて無いに等しい。


ということで、僕は
今起こっているを無かった事にして
歩き出すことにした。


「おい、お前!殺すぞ!」



人とは無様なもので

先ほどまで、
いっその事死んでしまおうか
と一瞬であるにしろ、
思っていたのにも関わらず

実際に自分の身に危険が迫ってしまえば
何とかして死を避けようとする。



僕の身体は、悪魔の言葉を聞き
ピタリと立ち止まった。


「俺様の事を無かった事にするなんて
お前、生意気だな。」

後ろに置き去りにしたはずの悪魔が
再び目の前に現れる。


(すいませんでした。)

声には出さないが心でそう思えば
悪魔の眉がピクリと動いた。

悪魔に殺されたくは無いが
変質者にもなりたくは無い。


一番最初に悪魔が僕に話しかけてきた時

―――逃げ出したい。
いっその事、死んでしまおうか。

なんて事を口に出しているわけも無い。
要するにこいつは僕の中の声を
聞いていたのだ。