全員の解答に、赤いチョークで
丸が付けられていく。
ホッと息をつく。
誰も間違っていたところで
僕を責めたりはしないだろう。
とにかく、当てられたときに
何かしらの答えが言えれば
それでいいと思っているから。
それでもやっぱり、間違えた瞬間に
僕の価値がなくなってしまいそうで。
誰も聞いていない、先生の解説。
全部頭に入っていることだけど、
僕はその解説をノートに書いていく。
このノートもどうせ、クラスのやつらに
貸すことになるから無駄ではないけど。
他のやつらはスマホをいじっていたり、
雑誌を読んでいたり、窓の外を見ていたり。
なんで僕だけが授業を受けてるんだろ。
それを考えることすら、飽きた。
毎日。毎時間。思うから。
自分のノートの英文には
分かり切った文構造の解説。
全ての解説が終わると
ちょうど授業終了のチャイムが鳴る。
「はい、終わり。
中村ぁ、ちょっと来い。」