ガチャン






みんなが帰る時間になり、あたしと一之宮は屋上に来た。







「...いいの?」






「何が?」







「あたしみたいな女で。...あたしよりいい人、たくさんいるよ?」







「僕は和泉が好きなの。別に嫌いなら嫌いってハッキリ言って。」








「嫌いではないけど...一之宮は頭が良くて、運動神経も良くて、優しくて、あたしとは正反対っていうか......」








「関係ないじゃん。」







「一之宮...」







「大切なのは、ホントの気持ち。...そうでしょ?」









...ホントの気持ち...か......







あたしが好きなのは...





















『お前には笑顔が一番だ。』








『おう!見てろよ。俺だけを。』








『...これから『杏奈』って呼んでいい?』









『杏奈。』















...いやいやいや。








なんで翔大ばっかり出てくるんだ?!







あいつだけは好きにならないようにしなきゃ。








なぜなら、あたしよりも小さいから。









そう。そう決めたのだ。








「和泉?」








「いいよ。あたしなんかでよければ付き合おう。」







「ホントにいいの??」







「うん。」







「...ありがとう。よろしくね!」








「こちらこそ。」








「じゃあ帰ろっか。」






そう言って手を差し出してきた。








「...うん。」










これでいいんだよね?








あたしは無理矢理、自分の気持ちに鍵をかけた。