「美桜ちゃん!」
声をかけたのは美桜があまり話した事のないクラスメート吉岡愛菜だった。
数学の授業が終わり、気を抜いていた美桜にとっては予想外の出来事だった。
「な、何?」
美桜は慌てて返事をした。
「今日の放課後、みんなでカラオケ行くんだけど美桜ちゃんも行かない?」
(今、カラオケって言った!?)
美桜は心の中でとても驚いた。美桜が驚いたのも無理は無い。美桜は高校に入ってから一度もカラオケなんて誘われた事などなかったし、
吉岡愛菜はクラスでも目立つ学級委員だからだ。