キーンコーンカーンコーン...
1時間目の予鈴が鳴る。秋野美桜は、
「めんどくさー」
小声で呟きながら数学の教科書を出していた。
美桜は西高校の2年2組の地味な生徒だ。
メガネに2つ結びというシンプルさ、性格も
おとなしいのだからクラスで目立たないのは、
言うまでも無い。
「おーっす!」
教室の入口から響き渡る声...中谷祐真だ。
「祐真おっそーい!」
「遅刻だぞー!」
クラスの中心の子たちから沢山の声があがる。
「寝坊したんだよ!」
祐真は笑いながら言った。