ある日の朝。

 「美鈴、あのね。聞いてほしい
ことがあるの」
 「何?急に改まっちゃって」
 母から話なんて珍しい。
 「転勤、する事になったの」
 「えっ?」
 「だから、転校・・・しなくちゃ
いけないのよ」
 突然の話に頭がついてかない。
 
 転勤・・・?
 転校・・・?

 「美鈴も辛いの分かるけど、
お母さんの気持ちも分かってね」
 「・・・・」
 
 何も言えない。
 本当に突然の事で・・・。
 私、皆とお別れしなくちゃいけないの?

 「分かった・・・」
 「じゃあ、先生にお話してくるから」
 「転勤って、どこに?」
 「・・・東京よ」
 「そう・・・なんだ」

 東京か。そう遠くはない。
 ここから電車で4時間ぐらいか。

 「会う気になれば、
会えるかな・・・」

 自然と涙がポトポト落ちてきた。