それから毎日、僕は土石流の中から花の色を見た。


日々増えていく、蕾。

開く、花弁。

薫る、蜜の香。


――― お慕いしております
――― お慕いしております


花は葉の色が見えなくなる程に咲き誇っていた。

「ツツジは一株にいくつの花が咲くんだろう」

花をつけすぎて枝が重いんじゃないだろうかと、いらぬ心配をした。


――― あなたのために、咲いているのです


雨の中で健気に咲き誇るツツジの、その色、その香り、その湿度を感じながら 日々を過ごすようになっていた。