……やっぱり、私……全然諦められてないんだな……。


兄の笑顔を見るのが苦しくて、私は目線を下げてしまう。


こんな気持ちで圭くんと結婚?

……そんなの無理に決まってる――。


「……」

「……友美?何か様子変じゃねぇ?そんなに深刻なケンカしたのか?」

「っ!」


気付いた時には兄が目の前に立っていて、ビクッと私は身体を震わせた。

黙りこんでしまった私を不思議に思ってか、いつの間にか私に歩み寄って来ていたのだ。

顔、上げれない……!

私は首を横にぷるぷると振って何とか言葉を紡ぎ出す。


「……だ、大丈夫、だから!何でもないっ」

「え、だって」

「何でもないってば!」


自分の中にある気持ちがもどかしくて、苦しくて、涙が溢れてくる。

何で私は彼氏にプロポーズされたすぐ後に、他の人のことで頭がいっぱいで泣いてるんだろう?

……バカだ、私。


「なぁ、友……え?泣いてんの?」

「っ、ち、違……っ!」

「違くないだろ?……ったく、仕方ないやつ。原因は何?オレからも圭斗に言ってやるから」

「~っ」


私は横にふるふると首を振る。


違うの。

圭くんは何も悪くない。

悪いのは全部私なんだから……!