友美にプロポーズをしたと隼人に打ち明けて、1分は経っただろうか。

ようやく目線を上げた隼人は、窺うように俺に問いかける。


「……返事は?」

「……どうだったと思う?」

「……オレに勿体ぶってどうすんだよ」


おちゃらけて言ってるつもりかもしれないけど、動揺しているのが手に取るようにわかる。

動揺を助長するように、俺は答える。

……盛大な嘘を。


「…………いい返事、もらえたよ」

「…………そう」


明らかにショックを受けた隼人の表情に、俺は罪悪感を感じることなく、笑った。


「くっ、そんな顔すんなよ」

「!?」

「……嘘だよ。まだ、返事はもらえてない」

「!……何で、嘘なんか」

「……隼人を傷付けたくて、かな」

「は?」

「気付いてないとでも思ってた?」

「……圭斗?」


キョトンとしている隼人に、追い討ちをかける。


「気付いてて、気付かないふりをしてた」