――どれくらい、そうしていたんだろう。
兄の腕の力が緩むのを感じて、離れたくない、と私はぎゅっと兄の服を掴む。
でも、その想いも虚しく、私の肩に乗せられていた兄の頭が持ち上がってしまって、今まで感じていた重さがなくなり虚無感が私を襲う。
その時。
「……友美」
「っ」
耳元に感じる吐息と熱と振動。
囁くような兄の声が甘過ぎて、身体がびくりと跳ねた。
「――……１分だけ。オレのものになって。最初で、最後だ」
「……え？」
そう聞こえ、兄の顔を見ようと顔を上げた瞬間だった。
「……んっ……！」
私の唇にふわりと触れた、柔らかくて温かい兄の唇。
……何が起こってるの？
さっきとは全く違うキスに戸惑いを隠せない。
だって、まるで、恋人にするキス――。
「ん……っ」
唇を食むようなキスから、私の唇を割って入ってくる兄の熱。
ゆっくりと口内を這う舌の感覚に、ただ酔いしれることしかできない。
熱がすごく心地よくて、もっと感じたくて、私は兄の舌に自分の舌を絡ませた。
ぴく、と反応した兄にもっと近付きたくて、背中に回していた腕を首に絡ませて頭を引き寄せる。
「……っ」
好きで好きで仕方ない。
もっともっと繋がりたい。
やっぱり、お兄ちゃんのことが欲しいよ……。
唇を合わせれば合わせるほど、その想いは強くなる。
