私と圭くんは俗に言う、幼馴染み、というもので。

物心つく前から家がお向かいさんだったし、両親同士も仲が良かったから、よく顔を合わせていた。


圭くんは私の2つ年上で、私の兄と同級生。

二人は親友だ。

二人とも優しくて、小さい頃から私を仲間に入れてくれて、三人でよく遊んでいた。


そんな圭くんに、2年半前に告白された。

私が25歳の時だ。


……正直、すごく驚いた。

私はずっと圭くんのことをそういう対象として見てはいなかったし、見られているとも思っていなかったから。


最初は断った。

圭くんとは小さい頃からずっと一緒にいて、それこそお兄ちゃんみたいに思ってたし、『恋人』という関係になるのが想像できなかったのもあるけど……

私には好きな人がいたから……。


でも……

『付き合いを考えているような男がいないなら、試しでもいいから付き合ってほしい』と何度も言われたこと。

私のしている恋は一生叶わないものだとわかっていたし、いい加減諦めないといけないと思っていたこと。

なによりも、真っ直ぐな圭くんなら好きになれると思ったこと。

考え抜いた結果、告白から半年後、私は圭くんと付き合うことにした。


……でも、私の考えは甘かった。

圭くんのことを『その人』以上に好きになることはできなかった。

圭くんのことはちゃんと恋人として好きなのに、ふとした時に頭に浮かぶのは『その人』のことだったんだ。


私の一番は……

今でもまだ、『その人』なんだ……。