「あ」

「え?」

「飛行機雲」


圭くんが眩しそうに目を細めて空を仰ぐ。

視線の先には真っ青な空に伸びる白い線。

私もあんな風に真っ白で綺麗な気持ちでいれたらいいのに。

真っ直ぐ、進めたら良かった。

真っ直ぐ、圭くんのことだけを見れたら――。

でも、私の気持ちはくるくると回って、辿り着く先が見えない。


ぽろ、と一粒、涙が溢れた。


「――っ……」

「……友美」


圭くんは私の気持ちにすぐ気付いてくれる。

こんなどうしようもない、私のことを。

圭くんの親指がきゅっと私の涙を拭った。


「自惚れかもしれないけど……焦らなくていいし、無理もしなくていい。友美のタイミングで、素直に答えてくれていいから」

「……っ」


きっとこんなに私の気持ちを考えてくれて、好きになってくれる人なんて、これから先現れないと思う。

未来を想像させてくれる人。


……問題は私の気持ちだけがついていかないこと。