「こらっ!さとし!」

「まま!」


男の子はぶんぶんと大きく手を振りながら、楽しそうにお母さんの名前を呼ぶ。

寄ってきたお母さんが私たちの存在に気付いた。


「あら、ごめんなさい。この子、迷惑かけちゃいました?」

「いえ。元気なお子さんですね」


圭くんはぽんぽんと男の子の頭を撫でながら言う。

男の子も何だか嬉しそうに見えた。


「ままー、あのね、ころんてなりそうだったの」

「そうなの?」

「うん。おにいちゃんがだっこしてくれたー」

「あらっ。すみませんねぇ~」

「あ、いえ。転ばなくて良かったです」

「ほら、お兄ちゃんにありがとうは?」

「ありがとう」

「どういたしまして」


そう言うのと同時に、圭くんが男の子の脇腹を両手でくすぐった。


「キャハハハハッ」


男の子が楽しそうに身体をくねらせながら笑う。

圭くんも楽しそうな表情だ。


圭くん、子供好きなのかな?

いつもより無邪気な笑顔がかわいい。

なんか、すごくいいパパになりそうだな。

私の頭の中に、圭くんと子供が楽しそうに戯れる姿が浮かんだ。

キャッチボールしたり、サッカーしたり。

勉強を見てあげたりもして。


そして、その姿を見つめるのは――