「……ねぇ、友美。最近何か悩みでもあるの?」

「えっ!?……そんなこと、ないよ?」


母はベッドに座っていて、私の様子を見ていたようだ。

負のオーラが漂ってしまっていたのかも、と思った。


「……私にはお見通しよ?どうしたの」

「お母さん……」


どうしよう……

相談する?

でも、プロポーズされた、なんて言ったら、きっと大喜びする。

返事を渋ってる理由を聞かれる可能性だって……

ダメ……、理由なんて……絶対に言えるわけない。


「……」


答えられないでいると、ふぅ、と母が息をついてベッドから立ち上がり、私のところに歩み寄ってきた。


「……そうね。友美ももう子供じゃないもんね。相談したくなったら、いつでもしてちょうだいね?……でもこれだけは覚えておいて。私は友美の味方だからね」

「……ん」


母の手が私の髪の毛をするりと撫でた。

優しい母の手と表情と気持ちに、鼻の奥がツンとした。


……ごめんね?

こんな娘で……。

普通の気持ちを持てないような娘で……。


結婚するってことはいずれは子供のことも考えないといけないんだよね。

お母さんみたいに子供を産んで、育てて。

家の仕事もこなす。

……頭の中で私に置き換えてみたけど、想像できなかった。

自分のことだけでいっぱいいっぱいの私には、子供のことも家のことも考える余裕なんてないよ……。


やっぱり私は、結婚してお母さんみたいになれる自信なんて、ない。