彼と会えなくなってどのくらいたつのだろう。

「忙しい」

という理由が本当なのかどうかさえ、確かめる手段はない。

私が知っているのは、
携帯番号をひとつ、
メールアドレスをひとつ、

大きくて厚みのある手と、
少し猫背に歩く姿と、
いつも重そうな仕事鞄、

そして、

私の名前を愛おしそうに呼ぶ、
甘い、甘い、声。