「俺、結婚なんて制度に縛られるのは嫌だと思ってたんだ。

今は考えを変えた。

制度で、君を縛れるのなら、それでいいと思ってる。だから」

あらためて、左指にはめられた、真新しく少しゆるい細い指輪と、

いつにない必死な顔の彼を交互に見て、

ああ、これは、完璧な愛の夢なのかもしれない、

…なんて思いながら、

「そうだね。結婚しよっか」

私は微笑んで彼の手を握り返していた。