あまり丈夫ではない彼は、私と出かけることはとても少ない。

あっても、ごくたまに、
こうしてお気に入りのバーに連れてくるくらいだ。

ふだんは、
私があちこち散歩してきては見つけた花の話や、
途中で出会った猫の話、
この間失敗した料理の話、
嵐の夜にひとりすごして怖かった話、
そんなのを、撮り貯めた写真を見ながら、
部屋でゆっくりとすごすデートばかりを重ねて来た。

このひととなら、沈黙が降りてもこわくない。

言い合いになることがあっても、
ふたり、言うだけ言ったあとはお互いにごめんなさいを言って、
涙をふいて、
また、手をつないで眠ることができる。