おばさんが医者に駆け寄った。

でも、医者は静かに首を横に振った。


「最善を尽くしましたが・・・三月九日 十九時時二十分永眠です。」


そう、医者は告げた。

おばさんは床に泣き崩れた。


あたしはなぜか涙一つも出ない。


だって、もとがあたしをおいて死んじゃうわけないもん。


嘘だよ、これは悪い夢だよ・・・


・・・お願い、こんな夢早く覚めてよ


「美和っ!!」


遠くからそう叫ばれ反射的に振り返った。


「・・・ゆう。」


「・・・もとは・・・」


これは嘘でもなければ悪夢でもない。


「もとは・・・」


全て、全部、事実なんだと今思い知らされた。