「何それ〜。あたしの方が絶対早いじゃん!元負けだね〜!」


「は?そんなのわかんねーだろ。俺が先だったら美和になにかしてもらおーかな?」


電話越しに聞こえるいたずらに笑う元。
顔が見えなくてもすぐそばにいる錯覚がする。


「いーよ。肩揉みでも、パシリでも何でも言うこと聞きますよーだ。」


「言ったぞ?だったら一緒に外国ついて来てもらおーかな?」


「・・・えっ?」


「ぶっ!・・・冗談だよっ!間に受け過ぎ〜美和ちゃん。」


「なっ!!本気にしたわよ!バカっ!」

英語の勉強しなきゃ・・・なんて思ったり。


「・・・美和」

不意に名前を呼ばれ、あたしはドキッと胸が音を立てた。


「・・・ん?」


「いやっ、何でもない!じゃあ、海の夕日で!」


「・・・う、うん!じゃあ!」


そして、あたしは電話を切り『海の夕日』に向かった。