「去年もすごかったからなー。香穂ちゃんいたのに……。今年はフリーだからもっと多いかもな。それにあんな王子様見せられたらな」


香穂ちゃん……

緒形から発せられるその名前になぜか胸が疼いた。

そうなんだ……彼女持ちでも関係ないってやつか。

毎年毎年これを期に伊月に告白しようとする人が多いんだ…。


「この告白タイムの後にするベストカップルにそういや2年連続トモと香穂ちゃん優勝してたなー。」


「そ、そうなんだ……知らなかった。」

なんか、過去のことなのに聞きたくない。


だいたいあたしはこんなイベントなんて興味なんてないし縁なんてなかったから知らなかった。


「お前さ、一昨年も去年もすごかったのになんでいなかったんだよ。」


「え?……伊月が?……後夜祭なんてあたしにとったら片付けのようなも────」


「ちげーよ。お前!美和のこと言ってんだけど。」


「あたし?だから、片付けして…」


すると、緒形はまじかよ。と言って笑った。


「鈍感にもほどがあんだろ。まぁ、片付けしてたら見つけれるわけねーか。」


そーか。そーか。と言って一人納得している緒形。