このドレスそうとう費用かかってると思った。
「ってかさ、シンデレラって最初からドレス着てるっけ?」
すると、ニナと麻央がえへへっと微笑んだ。
「え〜、だって見たかったんだもん♡」
おいおい、語尾にハートつけても可愛くないぞ。
完ぺき二人に遊ばれてたんだ、あたし…
着せ替え人形じゃないっつーの!!
でも、ほんとに……シンデレラみたい。
このあたしなら……伊月に似合うのかな……。
鏡の中のあたしは、素直そうな女の子に見えた……まるでいつもの自分と正反対。
いつかあたしもこんな風になれるのかな……────。
「美和ー!着替えて!始まるよー!!」
隣の部屋からニナの声。
あたしはキレイなドレスを脱ぎ、継ぎ接ぎだらけのワンピースに着替える。
「…今のあたしの心はこっちだよね…」
いつか、心の中までキレイなドレスに似合う人になれたら────。
あたしは、少し苦笑して舞台にあがった。