タクシーの運転手も不思議な顔をしていて……

そしてついた場所はやっぱり───学校。


「ゲホっ、…ハァ……伊月!待ってよ」


ようやく解放されたあたしは酸素不足かというほど息が弾んでいた。



「キャー伊月くんよー♡」

「もう大丈夫なのかしら……伊月くーん♡こっち向いて〜」

「あの人が噂の冷血王子様?かっこいい〜♡」

「キャー目があっちゃった♡」


校門に作られたカラフルな風船のついたアーケードを通り抜けると…

そこには大量の女子たちが甘ったるい声を出して伊月に駆け寄って来た。


他校からも来ている生徒もいるみたいで、初めて伊月を目の当たりにした女子たちは次々と目をハートにして倒れていった。


伊月はというと相変わらず女子たちを煙たそうに睨んでいる。


それを女子たちが目が合ったと勝手に解釈してるらしい。


変に伊月の後についていったら女子たちに罵声を浴びせられるだろうからこの軍団が消えてから学校に入ろう。


とアーケードの前に立っていたけど……

そんなあたしを見て伊月は鬼のような形相であたしに近づいて来た。



「…おい、何つったんてんだ。早く行くぞ。」


そう言って伊月はあたしの手を掴んだ。