「君が……蒼井さん?」


病室に入ってきた人は背が高く優しそうな顔つきで……どこか伊月に似ていた。



「あ、はい……そうです。」


「わたしは伊月の父でここの医院長をしています。いつも智哉がお世話になっているようで……」


そう言った男の人は伊月のお父さんだった。

やっぱり、親子って似るんだなと思った。


「こ、こちらこそ伊月くんにはお世話になってます!!」


緊張して声がおかしくなりそう…



「あ、あの!伊月…くんは意識戻りますよね?」


「頭を強く打っているみたいでね…今日中には意識は戻らないかもしれない。もし戻ったとしても一日安静にしてもらわないといけない。」


そう、伊月のお父さんは静かに呟いた。


「智哉には、いつも迷惑かけっぱなしでね。恥ずかしながら仕事のことでいっぱいで家のことは何もしなくてね…5年前長男が亡くなりそれを期に妻には別れをつげられました。長女は一人暮らし。そこから家族はバラバラに……でも何一つ文句言わず智哉だけついてきてくれたんです。」


何を君に話しているんだろうね、と少し悲しそうに微笑んだ伊月のお父さん。