「家来役は裏方のめがねにでもやらしたらいいだろ。」


「……そ、そうだね……」

残念だけど、もし伊月が目を覚ましても危ないから劇に出ることはあたしもすすめたくない。


「じゃあ、準備あるし帰ろっか。美和も家でちゃんと練習してね。」



でも、やっぱり……そばにいたい。



「あたし、伊月が目を覚ますまで一緒にいる!」


「あ?何言ってんだお前。明日も起きないかもしれ……」


「緒形、美和の好きにさせよ。……美和伊月くんのことよろしくね。」


「……うん。劇までの時間には戻るから。」


ニナは緒形を連れて病室から出て行った。


なぜだろう。
自分の本心じゃなくても身体が勝手に動く。


でも、あたしはこのとき本当に思った。






────ただ、君のそばに居たいって