あたしは台本を握りしめたまま伊月を見た。
いつも、イジワルでドSでおまけに俺様で……なのに急に優しくなるし笑顔見せてくれるし……もうわけわかんないよ。
そんな伊月の頬は少し赤くなっているように見えた。
それは夕日に照らされているせい?それとも……
「なに、見惚れてんだよ。」
その声にハッと我に返った。
「べ、別に見惚れてなんか…」
「ふーん。……練習するぞ。」
相変わらずそっけない。
「……うん。」
伊月が練習に付き合ってくれているおかげで覚えにくかったセリフも覚えることができた。
練習中は、こんなんもできねーのかバカ、これを客に見せるのか恥をしれのオンパレードでしたけどね!
「あー、もうダメ……頭破裂しそう…」
「は?何言ってんだお前これで満足すんな。」
という、厳しいお言葉をあたしは散々浴びせられた。