すると、伊月がフッと笑った。
「所詮、お前にとってこの劇はそんな程度かよ。」
「……なによ、急に……」
「お前は嫌なことがあればすぐ逃げる。いつも見ないふりをする。それでいいのかよ。お前、また逃げんのかよ。」
伊月が言ってるのは元のことだろう。
確かに今まで向き合わず逃げてきた。
他にも……嫌なことがあればあたしは逃げてきた。
なんでかな、悔しい。
伊月にそこまで見透かされていたことになんだか情けなくて…腹が立って、でも素直になれなくて……
「あたしは、別に逃げてなんか……」
そう言ってしまう。
この場には入れないあたしは教室から出て行こうとしたとき後ろから荒々しい声が聞こえた。
「ああ、わかった。お前はその程度の人間だってこと。お前は一生負け犬だ!この大根役者!!」
その言葉に思わず足を止めた。