「今からじゃ遅くないからもうこの役おりたら?蒼井さんだってこんな恥ずかしい思いするの嫌でしょ?」
「そうよ!もうやめたら?ってかさ、蒼井さんがシンデレラとか似合わなーい!」
「ほんと〜ウケる〜」
た、確かにそうかも……このまま続けてシンデレラするより役降りた方がいいのかも。
ってか、みんなの言う通りあたしなんかシンデレラなんてなれない。
「お前ら黙ってれば好き勝手言いやがって……!」
何も言わず見ていた緒形があたしの愚痴を言った女子達の前に立ちはだかった……のだけど……
なぜかあたしの前には片膝をたてた伊月がいて……
「なんて、美しいんだ。わたしと一緒に踊ってくれませんか?」
その瞬間、さっきの女子達が悲鳴をあげた。
……は?
なにこれ…
あたしは戸惑って伊月の目を見つめると伊月もまたあたしを見つめ返してきた。
え!?ちょ、ちょっと……なによこれ……
「あ、あの…やっぱりあたし……こ、こんなの向いてないよ……」
あたしは耐えられず伊月から目を逸らした。