あたしは柵に足をかけた。


「み、美和!?何してるの?」

ニナはそんなあたしの姿を見てそう言った。



「もとがね、元が。いつか、迎えに来てくれるって。でも、もう元はここにはいない。だから、だから。あたしがもとを迎えに行く。逢いに行く。」



その意味を悟ったニナはあたしに近寄った。


「美和冗談やめて!!元くんに逢いに行くって……。美和お願い!変な考えはやめて!!」


「美和っ!正気か?お前、落ちたら泳げねーだろ!今すぐ降りろ!」


こんな場所から飛び降りたところで普通の人は死なないだろう。


でも、あたしは全く泳げない。
いわゆる、カナヅチなわけで海に落ちた時点で溺死だろう。



「そんなことして、どうせ死ねないくせに。」


そう、冷血王子は呟いた。