「亜稀(アキ)様。お言葉使いにお気をつけください。」
『ちぇっ、わかってるよ。』
「アナタは神宮司家の次期長であり、お――」
『やめろ!草薙、分かっている。今さらそんなことを言うな。』
「――っ。はい、申し訳ございませんでした。」
考えにふけっていた俺の後ろにはいつからいたのか執事である草薙。
草薙は俺を見ると、お馴染みのようにグチグチと小言を始める。
その内容は毎回同じで言葉使いやら礼儀やら、態度やら作法やらで、神宮司(ジングウジ)の型にきっちりと嵌め込まれたような生活しか許さないと言いたげな事ばかりだ。