そこからはお互いに間合いを詰めては、離れてを繰り返し、タイミングを狙っているようだった。


何度か、おしいか?と思うような技は見られたものの、審判の旗が揚がることはなく、両者とも一本決めることなく、試合時間は過ぎていった。


慎重に間合いを見ている小百合先輩に、相手選手が焦れた。




あっ……


相手が無理に攻めてきた。


飛び込み小手で攻めようとした相手の竹刀が、小百合先輩の道着の袖口から入り込み、引っかかってしまった。




よし!いける!


私が思ったときには、もう小百合先輩は動いていた。