先鋒の私は何も出来ずに、引き分けで終わってしまった。


続く次鋒は、2本負け。


中堅の唯も、私と同様に引き分けてしまった。


副将は、何とか持ちこたえようとしていたけれど、試合終了間際に一本と取られてしまった。





……負けた。




小百合先輩へと回す前に、私たち稲北中の敗北が決定した。


それなのに、小百合先輩の表情はキリリと引き締まったまま。


私にはなんとなく、先輩がやりたいことがわかった。


だって、私によく言っていたもんな。





『大将の役割はね、チームが負けてようが勝ってようが、必ず勝つこと。チームの負けが決まっている時こそ、勝つことに意味がある。最後に稲北中を魅せて終わるんだよ』
絶対に勝つ気なんですよね、先輩は。