予選1試合目、予想していなかったことが起きた。


小百合先輩が負けたのだ。


相手は明らかに小百合先輩より、実力的には下の試合しかしていなかったのに。


でも、チームとしては何とか勝つことが出来た。


私と唯が勝ち、1年生2人が引き分けだった。


だから、小百合先輩に勝負が廻った時点では、チームとしての勝ちが決まっていた。


楽に試合できたはずなのに、それなのに、小百合先輩の動きは思いがけず硬かった。




「お前が主将だろ。お前がしっかりしないでどうするんだ。1、2年生に頼るのか?それでいいのか?お前があいつらを上に連れて行ってやれ。いいな」


「はい!」


試合のあと、コーチから雷が落ちていた。


けれどそのお陰か、さっきまで硬い表情ばかりだった先輩の表情が、かっこよく引き締まったように見えた。