「亜美もちゃんと頑張ってるのは、みんな分かってるんだから拗ねるなよな」


弘樹と2人になっても私の機嫌は直らずに、まだ拗ねたままだった。


無言の私が醸し出す雰囲気に負けたのか、弘樹から話しかけてきた。



「だって体格なんて私にはどうしようも出来ないじゃん」


「どうしようも出来ないって、じゃあまず飯をちゃんと食え」


「ちゃんと食べてるよ。量はね……」



そう、量だけはちゃーんと食べているはず。

ただ、ちょっと偏っているだけ。


「量だけじゃダメなんだよ。好き嫌い多いし、嫌いなものばかりのときはほとんど飯食わねーじゃねーか」


「そんなことないし」


「そんなことあるから。じゃあ、今度の遠征の時は自分で食えよ?俺食べてやらないからな」




……それは、大変困ります。


「ダメ。食べてよ」


絶対に譲れないことだから、食べていないことを認めるしかないよね。


1年前の遠征では、前田先輩が食べてくれたもんなー。



――――トクトクトク。



あれ?今の何?


自分の心臓の音が、少し大きくなったような気がした。